こんばんは、億持ってない億男です。
相続税の対策として有効な手段のひとつが計画的な生前贈与です。もちろん、これは合法で、ある程度の歳になった場合に、相続人(配偶者や子供、その他の人)に財産を計画的に贈与していくというもの。
財産が多い人にとってはとてもよい制度だったのですが、この生前贈与のシステムが変わっています。
終活という前向きな死への準備が今は普通の時代。生前贈与は若い人にとってもすでにある程度の年齢になっているシニア世代にとっても他人事ではありません。
今回は、生前贈与についてお話ししたいと思います。
生前贈与ってなに?他人にしても良いの?
生前贈与とは「生存している個人から別の個人へ財産を無償で渡す」というもの。相続税の対策として行われることが多いのでついつい子供や配偶者といった、家族に対して行われるというイメージが強いかもしれませんが、他人に対しても可能です。
例えば、法定相続人以外の親族はもちろん、お世話になった人や内縁の配偶者、恋人などへの生前贈与も可能です。
相続と関連づけられることが多いのでついつい、家族間の法律という捉え方をしてしまいますが、誰にでも生前贈与はできます。
生前贈与は年間110万円までは非課税。相手が誰であってもこれは同じです。これを計画的にしていくことで、本当に相続が発生したときに相続税の対象になる財産を減らして節税ができるというわけ。
ですが、このルールが変わろうとしているのです。
2020年12月10日に与党が発表した「税制改正大綱」に相続・贈与税を一体化するという記載があったのです。
贈与税の廃止?!
相続税と贈与税・・・。相続税は誰かが亡くなったときに亡くなった人が持っている財産を相続するときにかかるもの。贈与税は自分の財産を誰かにあげたとき発生するもの・・・ですから、別のものです。
生前贈与は、贈与税。ですが、実質上、相続税の対策にも利用できるルールだったというわけです。
ですが、これを一歩化することで「格差をなくそう」というのが狙い。まぁ、簡単に言えば、相続税対策に贈与を利用できる仕組みを変えていこうというものです。
相続税と贈与税の一本化はいつ?
「うちには相続財産なんてない」という人もいらっしゃるかもしれませんが、いつどんな状態になるかはわからない物。自分の財産を自分が渡したい人に効率的に渡すために知っておいて損はありません。
与党が進めている相続税は贈与税の一本化は、今はまだ改正大綱の状態。つまり「こうしていこうかな」という予定という段階です。
法律の改正手続きが必要になるので、施行されるまでには早くても数年の時間がかかるだろうと言われています。
与党が進めている一本化が現実になれば、計画的に贈与をして相談財産を減らすという今までの方法は使えなくなります。
そして、海外の例を見てみると相続税の対象が日本では過去3年なのに対し、イギリスは7年、ドイツ10年、フランス15年。そして、アメリカではなんと過去の贈与分すべてが対象になります。
日本でもこの制度が導入されれば過去の贈与分に関しても相続の対象になる・・・今は3年分ですが、もしアメリカと同様のシステムになったら・・・相続税がとんでもない金額になってしまうというケースも想定できます。ただし、法律の効果は遡及しないので、今、すでにしてしまっている贈与分に関して、後出しで税金がかけられるということはまずないでしょう。
ただ、3年という日本のルールはかなり甘いのも事実ですし、諸外国を参考に期間が長くなるという可能性はあるでしょう。
そもそも、どうして贈与税と相続税を一本化するのかといえば、国が税金をたくさん徴収できるようにしたいからというのが本音なわけです。もちろん、新型コロナの影響で国の財政にもダメージがありましたし、どこかで増税が行われるのはほぼ確実といっていいでしょう。その中での相続税と贈与税の一本化の議論ですから相続税の負担がより重くなる可能性が高いと考えるのが自然です。
教育にかかる贈与税の非課税制度も2023年(令和5年)3月31日ですし、制度も厳格になって行っています。やはり、増税ベースでの議論が展開されることになるでしょう。
まとめ
今回は、贈与税と相続税についてでしたがいかがでしたか?
相続税の対策に利用できる贈与ですが、ふたつのルールを一本化するという法律改正の議論が進んでいます。
施行までにはまだ時間がありますが、いずれ贈与を計画的にしていって相続税の対策にするという方法は使えなくなる可能性が高いといっていいでしょう。
贈与は家族や親戚だけでなく他人に対しても行えるもので、年間110万円までは非課税。終活にも利用できる制度ですが、この方法も相続税と贈与税の一本化がされれば使えなくなる可能性が高くなります。